Column コラム
木野 雄介
- 私立中高講師
- 歴検日本史博士
教師・上司のためのコミュニケーション論⑧ ~プレゼンのコツ その3「スライドの魅せ方」~
2022.01.04

教師と生徒にまつわるコミュニケーションについてシリーズでお話しています。
上司と部下の関係に読み替えても使える部分が大いにあると思いますので、教師以外の方もぜひお読みになってください。
前回のコラムでは、「プレゼンターの魅せ方」ということで、話し方の演出の仕方や、身だしなみについて私見を述べました。
今回は、「スライドの魅せ方」ですが、前回も申し上げました通り、
「プレゼンする=かっこいいスライドを作らなきゃ!」ではありません。
プレゼンの主人公は絶対的に「プレゼンター」です。
スライドはあくまでも主人公であるあなたを際立たせる「背景」のようなものです。
プレゼンにおいては、主人公はプレゼンター、スライドは背景というのが最上位の目標になります。
研究発表などで、スライドを中心に発表が進行するタイプのプレゼンテーションもありますが、今回は本コラムのコミュニケーション論⑤でもお伝えした、「聴衆の心を動かし、行動をも変える」を最上位目標にしたプレゼンテーションを想定しています。
ですから、もしスライド作りで迷ったら、「主人公(自分)は映えるか?」という最上位の目標に立ち返って考えてください。このように最上位の目標という高い視座から自分の現在地を確かめるのは、パブリック・リレーションズの第1の柱「倫理観」に該当する部分です。そして、間違った方向に進んでいたら潔く修正してください。これは第3の柱「自己修正」に該当する部分です。
これらの点をふまえ、「スライドの魅せ方」のコツをご紹介しましょう。
①文章よりも箇条書きで
こういうスライドをよく見ませんか?ちょっと極端な例ではありますが、文字ばかりが羅列していて、それを読み上げるだけのプレゼンにならないように気をつけてください。読み上げるだけなら、資料を配布して「読んでください」で十分なはずです。
②情報を詰め込みすぎない
こういうプレゼンもよく見ますね(省庁・役所の資料でよく見ます)。文字は少ないのですが、これでは情報量が多すぎます。7種類も入っています。このスライドページはおそらく5分くらいかかるでしょう。聴衆は飽きてしまいますし、プレゼンターの話す内容よりも、自分が読みたい情報に視線が移動してしまいます。
こうならないよう、スライドページを分けて説明すると良いでしょう。
↑世界的大企業のマイクロソフトも以前はこういうスライドでプレゼンしていました。どこを見ていいのかわかりません(笑)そもそも読ませる気がない小さな文字は、ない方がマシです。
↓同じ頃、アップルが新商品「iPhone」を初めてプレゼンする際のスライドはこのようなものでした。
情報量は、1スライド1分を目安にするとよいとでしょう。
③フォントの工夫
いろんなフォントがありますが、できるだけ使用フォントやフォントカラーは統一してください。
いろんなフォントやカラーが混在していると読みにくいです。
また、サイズは小さくなりすぎないよう、気をつけてください。
いずれにしてもデフォルト設定ではなく、自分の背景として機能するフォント、カラー、サイズを見つけてください。
ちょっとしたコツですが、平仮名は漢字やカタカナよりもやや小さめにすると読みやすくなります。
次回は写真の使い方についてお話ししようと思います。
以下の4名はいずれもプレゼンの名手として世界的に有名な方々です。
さて、私はこの4名の写真からどんなことを皆さんに伝えると思いますか?
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