Column コラム
山本 崇雄
- 横浜創英中学・高等学校副校長
- 教育系コンサルタント
子どものお年玉問題(実践編)~パッブリック・リレーションズ(PR)の手法で子どもとお金の使い方を対話する
2022.02.01

前回、お年玉の使い方について寄稿させていただきました。そこでは、お金の使い方の選択肢をわかりやすく子どもたちに伝えるために、紙を四つ折りにしてお金の使い方を考えていくアイデアを共有しました。それはこのような内容でした。
1枚の白紙を用意し、4つ折りにして中央に手元にある金額の総額を書きます。それぞれのマスには、①自分の幸せのため②自分の成長のため③未来の自分のため④誰かの幸せのためと書き、それぞれの欄にお金の使い道を書いていくというもの。
これを読んで、お金の使い道を「自分のため」以外に考えることは、子どもには難しいと感じられる方もいらっしゃったかもしれません。そこで、今回はあのブログを読んで実際に、このシートを小学3年生のお子様と対話しながら作っていった実例をご紹介します。
まずは実際のシートをご覧ください。
小学3年生でもここまで書けるのです。もちろん、いきなりこのシートが書けたわけではありません。対話を丁寧にしながら、娘さんの考えを引き出していったやりとりを伺いました。
やはり最初は、「他の人のためにお金を使うのは嫌だな」となったそうです。そして、次のようなやりとりが始まります。
ママ「ママは何のためにお金を使っていると思う?」
娘「私と弟のためかな」
ママ「なんで?」
娘「私と弟のため・・・あぁ、だれかの幸せか!」
ママ「あなたもいろいろな人にあげるでしょ。この前もアイロンビーズ〇〇ちゃんにあげたよね」
娘「あ、そういえば、弟にもお年玉あげたんだった!」
このように、誰かのためにお金を使うことが、「だれかの幸せ」につながっているという気づきが自然に生まれている様子がわかります。そして、「今年は30円だったから、次は100円にしよう」と「だれかの幸せ」の欄に弟のお年玉と書き入れたのです。PR for Schoolの「みんながハッピーであること」につながります。
「じぶんのせいちょう」にあるアイロンビーズは、元々好きで始めたことだったそうですが、ある時、自分の作品を売るという機会があり、作品を販売することに挑戦したそうです。でも、いざ売るとなると、売れるか不安で、当日セッティングを始めたあたりから「やっぱりやりたくない!どうでもいい!」と半べそになっていたそうです。しかし、最初のお客さんが一番自信作の300円の商品を買ってくれ、そこから急にやる気が出たといいます。それで、帰りの車の中で、来年はもっとこうしたい、あの商品もっと作りたい、こうしたらよかった、とたくさんの気づきが生まれたそうです。オリジナルのデザインのコースターなども売れて、自信になったことは未来に希望がつながります。(彼女は将来デザイナーになりたいそうです)この経験から、自分への投資としてアイロンビーズの材料費を計上したのです。
PRの視点で見ると、この対話はまさにPR for Schoolで大切にしている「対等な対話を重ねること」にあたります。正解を無理に教えることなく、対等な対話を通してお子様の気持ちを引き出していきます。お金の使い方から、将来の夢(デザイナー)にまで対話がつながっているのが素敵ですよね。この対話があったからこそ、写真のようなシートが出来上がったのです。小学3年生でも、対話を通せば「自分のため」以外の「誰かのため」のお金の使い方を考えられるようになります。お年玉に限らず、お金の使い方について、ぜひ周りの子どもたちと対話をしてみませんか?
PRの対話の手法について、さらに具体的に知りたい場合は、PR for Schoolの教材がお手伝いできると思います。リアルな社会の実例をもとに、対話の具体例を学ぶことができます。ぜひお気軽にお問合せください。
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