Column コラム

意味のないクラス目標を作ることをやめませんか(2)~常に変化する集団で目的を合意する経験を~

2021.05.06

4月が過ぎ、ゴールデンウィークもあっという間に過ぎましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

前回に続き、クラス目標やスローガン作りについてお話しします。クラスだけでなく、これから様々な行事や委員会などで目標づくりが行われると思うので参考にしていただければと思います。

前回お話ししたように、パブリック・リレーションズでは目標設定が重要です。多様な考えを認め、対話を通して合意できる目標を見つけていきます。さらに、時に自分の信念やこだわりを曲げてでも目標達成のために行動をしていきます。これからのより多様化した社会では、パブリック・リレーションズの目標設定から目標達成への考え方がとても役に立ちます。

今回もクラス目標を例にお話しします。そもそもクラス(学級)とは何でしょうか?僕は、クラス(学級)は単に年齢で区切られ、授業を受けるために作られた集団に過ぎないと考えています。この意味では、それぞれの学びを尊重し、個別最適な学びが達成できる集団を作っていくことが、クラス(学級)の最上位の目標になるはずです。この目標に対して団結(人々が力を合わせ、強く結びつくこと)は必ずしも必要ではないですし、協力や尊重も目標達成のための手段です。実は、クラス(学級)目標作りはとても難しいことで、手段が目的化してしまうことがよく起こってしまいます。

こう考えると、年に1回クラス(学級)の目標を考えることにこだわるよりも、変化する集団の中で常に最上位の目標を、対話を通して決定していく経験を積み重ねることが重要であると考えます。例えば、授業でも集団が変化することはどの学校でもあります。少人数や習熟度に別れたり、選択科目に別れたりすることがあると思いますが、この場合、クラス(学級)が主でそれ以外が副と捉えてしまう生徒もいます。そうではなく、どんな集団でも授業を受ける際の最上位の目標は決まってくるはずで、お互いの学びを尊重するために行動をコントロールすることも学ばなければなりません。多くの少人数や習熟度クラスで自律した学びが起きにくいのは、この最上位の目標が合意できておらず、お互いの学びが尊重できていないからです。

文化祭などの行事でも、テーマごとの集団を作る方が最上位目標を決定する対話が起きやすいでしょう。何もクラス(学級)にこだわる必要はありません。クラス(学級)で出し物を1つに絞るより、学年や学校全体でいくつかの出し物の集団を作っていく方が子どもたちもより多様な集団で主体的に選択することができるのではないでしょうか?

前回お話ししたように、今私たちが意識しなければならないのは、全ての学校が目指すべき目的です。学校が目指すべき目標を全ての教員で理解しなければなりません。それを達成するベクトルに向けて、それぞれ教育活動の目標を合意していくことが重要です。この流れで、「意味のある」クラス(学級)目標を作ることも可能です。全ての教育活動で最上位目標を意識し、それにそぐわない「意味のない」目標を作ることをやめましょう。