Column コラム

なぜ学校教育にパブリック・リレーションズが必要か(1)〜問題を対話で解決できる社会を目指して〜

2023.10.18

 みなさん、こんにちは。コラムの執筆が久しぶりになってしまいましたが、これを機に改めてパブリック・リレーションズを学校教育に導入していくことの意義について、シリーズで書いていこうと思います。
今年度も上半期が過ぎましたが、世の中を見ると相変わらず企業不祥事が相次いでいます。中には子どもたちに馴染みのある企業も見られ、不祥事は子どもたちにも身近な問題になっています。企業も透明・公正かつ迅速・果断な意思決定を行うための仕組み(コーポレートガバナンス)を作るなど対策をしていますが、なぜ不祥事は無くならないのでしょうか?実はこうした危機への対応もパブリック・リレーションズの手法の一つです。
 教育の観点では、もちろん、今の大人が誤った道を修正し、より良い方向に「自己修正」していく姿を子どもたちに示す必要があります。それに加え、学校がこれからの社会を創っている一翼を担っていると考えると、学校教育の果たす役割はとても大きいものです。これから子どもたちが社会に出て、自ら考え、自己決定し、行動していくためには、行動を選択する上での軸(判断基準)が必要でしょう。その軸を作っていく上で、子どもたちがパブリック・リレーションズを学ぶ意義はあります。
 パブリック・リレーションズとは、「個人や組織体が最短距離で目標や目的に達する、『倫理観』に支えられた『双方向コミュニケーション』と『自己修正』をベースとしたリレーションズ活動」です。経済、政治、文化において急速にグローバル化が進行する中で、民族や文化、言語、宗教、国境を超えてステーク・ホルダー(関係する人たち)とのリレーションシップ・マネジメントを実践するので、パブリック・リレーションズはグローバルビジネスの基盤ともなります。
このリアルな社会でのリレーションシップ・マネジメントを学校に導入することで、子どもたちは、より良い選択をする軸ができ、問題はスキルで解決できることを学ぶことができます。さらに、今の学校の学びが未来や社会につながっていくことを実感できるでしょう。
ただ、子どもたちに「倫理観」「双方向コミュニケーション」「自己修正」が大事だよと言ってもわかりにくいので、次のような言葉を使っています。

・倫理観→みんながハッピーであること(誰も取り残さない)
・双方向コミュニケーション→対等に対話を重ねること
・自己修正→試行錯誤しながらより良い方向へ進むこと

次回からは、これらの観点それぞれを学校教育に落とし込む考え方を具体的に書いていこうと思います。