Column コラム
赤信号と社会課題
2023.10.31
ついこの前の夏の記録的な暑さを忘れてしまいそうなほど、朝晩の冷え込みにも冬の訪れを感じるようになってきました。みなさん体調はいかがでしょうか。
さて、今回のコラムでは、持続可能な未来に向けての行動は、個人の内面の変容や、意識変容が重要なのではないかと思った出来事を記事にしてみました。
私は自転車で通勤をしているのですが、今週の朝の出来事です。信号が点滅していたので自転車を止めたところ、すぐに信号は赤になりました。すると、後ろからすごい勢いで自転車が一台(大人が運転していました)、赤信号を無視して横断歩道を横断していきました。その後も、2人の大人が、横断歩道を小走りで横断していきました。この小道は、車通りも少なく、結果的にこの赤信号で待っている間、青信号側の道からは車も自転車も、さらには歩行者も通過はありませんでした。赤信号でも横断歩道を渡って行った大人の方々は、みなさん綺麗めのスーツを身にまとっていましたから、おそらく企業に務める方々だったと思います。
普段この道は、車通りも少ないですから、赤信号でも大丈夫という気持ちや、今日は、たまたま大事な会議が早朝にあり、遅刻できないから今回は仕方ない、などの理由が想像されます。しかし、倫理性で考えると、やはり問題ですし、まして、子どもたちの前でも、堂々とできる行為かというと、説明できる理由はないように思います。
自分くらい大丈夫とか、今回だけはいいかな、という積み重ねが、現在、地球規模で問われている持続不可能な資源の利用や気候変動を引き起こし、人間活動に歯止めがかからない状況にもつながるマインドなのではないかと思いました。現在の社会課題を生み出してしまったのは大人の僕らです。しかも、1960年代から始まった洗濯機、テレビ、冷蔵庫の普及や、耕作機やトラクターの導入など、機械化に伴う利便性・快適性の延長線の結果が、現在の社会課題を引き起こしていると考えられます。便利で快適な未来と思って良かれと思って築いてきた現代は、結果的に複雑な社会課題を生み出してきたと言えます。
2012年に開かれた国連持続可能な開発会議「リオ+20」で、世界一貧しい国の大統領ということで有名になったホセ・ムヒカ大統領(ウルグアイ)の発言を思い出します。「貧しい人とは、少ししか持っていない人のことではなく、際限なく欲しがる人、いくらあっても満足しない人のことである」というアイマラ族のことわざを引用したスピーチは、国連だけでなく、世界中の人々に、自分の内面性や、足るを知る感覚を、問われたことが思い出されます。
今朝の赤信号を無視した1つの出来事は、さまざまな社会課題を生み出している要因にも繋がっているように思います。社会課題を解決するためには、私たちの内面にある倫理性を問い直す必要があるのではないかと思うのです。
みなさんはどう思われますか?