Column コラム

教師・上司のためのコミュニケーション論④~プリントによるコミュニケーション~

2021.07.28

教師と生徒にまつわるコミュニケーションについてシリーズでお話しています。
上司と部下の関係に読み替えても使える部分が大いにあると思いますので、教師以外の方もぜひお読みになってください。

前回のコラムでは、「エニアグラム」という心理学的なアプローチで「その人らしさ」について少しだけ詳しくわかる方法をご紹介しました。まだ試していない方はぜひ前回コラムをお読みになってください。

さて、これまで話してきたコミュニケーションは、そのほとんどが対面、対話によるものでしたが、今回は文字によるコミュニケーションについて見ていきましょう。

学校・敎育界のICT利用が年々進んできましたが、お手紙やプリントといった、「文字」によるコミュニケーションが現場にはまだまだ多いと思います。

「学級通信(学年通信)」を例にみていきましょう。そのプリントは「読者の読みたいという思い」を優先していますか?それとも、「作者の読んでほしいという思い」が優先されていますか?

当然、読み物としては前者が望ましいのですが、教師というのはどうしても自分の思いを語りたくなってしまいがちです。「学級通信は生徒や保護者が必ず読むべきもの」となってしまうと、読みやすさなどは後回しになってしまい、持論を延々と展開してしまう・・・。これはもはや教師のエゴだと、私は捉えています。

そう気づいたのは、私が保護者になってからです。ある日、子供が持って帰ってきたプリントに、私はさほど興味が湧かなかったんです。文字ばかりだったからです。これはきっと私が作成しているプリントにも同じ現象が起きているに違いない。そう考えました。

これらのことを踏まえて、「学級通信」をパブリック・リレーションズ的に考えると、以下のようなことが言えると思います。

①読者の読みやすさを軸に作成する→倫理感
②読者の「読みたい」や「知りたい」という気持ちに応える→双方向性コミュニケーション
③保護者・生徒が読むべきもの、というエゴを捨てる→自己修正

「学級通信は保護者・生徒が“読むべきもの”というエゴを捨てよう。相手も人間だから、文字ばかりでは読む気が失せるだろう。どんな学級通信だったら読みやすいかな」

そこで、私が過去に出したクラス通信を例に、デザインの工夫を3つご紹介します。

①イラストや写真を多用する
なんと言ってもコレ大事です。可愛くデコレーションするために、季節にまつわるイラスト(桜やひまわりなど)を用いている方は多いと思いますが、その程度では読者の興味を惹くには不十分です。自分が保護者になって気づいたのですが、子供が持ち帰ってきたプリントに子どもたちの写真があると、どうしても自分の子供を探してしまいます(笑)ぜひ子供たちの様子を保護者に知らせてあげてください。

②文字の大きさやフォントの種類などに気を配る
新聞や週刊誌は、なぜ全て同じ大きさの文字で書かれていないのでしょうか?同じでは読者の興味を惹きつけられないからです。小見出しは大きめの文字にしたり、太くしたり、色を変えたりすると、読者はまず小見出しだけに視線を送り、読みたいものから読み始めます。当然ですが、読んでもらいたいものが一番目立つ位置(=先頭)に来るといいと思います。たまに、校長、学年主任、担任の先生のコラム的なものを先頭に持ってくるプリントを拝見しますが、新聞社が社説やコラムを一面トップに持ってこない理由を一旦考えてみてください。

③書きすぎない
どうしても教師が文量が多くなってしまいます。それだけ思いがあるのは重々わかるのですが、長いとそれだけで読む気が失せます。「読んでほしい」ならば、「読みやすさ」という倫理観に立ち帰り、端的にまとめると良いでしょう。
なお、私が作成する保護者向けプリントは、各家庭が冷蔵庫に貼ることを考えて、A4縦1枚だけです。横向きにしないのは両開きの冷蔵庫だと貼りにくいからです。また、1行が横に長いと読みにくいので、段組みを利用すると良いと思います。「詳しくはこちら」というQRコードを載せておいて、詳細はネット上に書いておくのも手です。

HowよりもWhy
他にもおすすめしたい工夫はあるのですが、私も「皆さんに読んでもらうためにはどうしたらいいか?」を思考の出発地点にしましたので、長く書くのはやめます(笑)

ぜひ「どうしたら読みたくなるか?」と考えて、作ってみてください。