Column コラム
木野 雄介
- 私立中高講師
- 歴検日本史博士
教師・上司のためのコミュニケーション論②~関心を持つ~
2021.05.31

教師と生徒にまつわるコミュニケーションについてシリーズでお話しています。
上司と部下の関係に読み替えても使える部分が大いにあると思いますので、教師以外の方もぜひお読みになってください。
前回の『尊重する』をまだお読みになっていない方は是非そちらからご覧ください。
さて、あなたは朝、髪型がキマらなくて、何十分も鏡の前で整え直した経験はありませんか?
どんなネクタイがいいか鏡の前で悩んだ経験はありませんか?
しかし、他人はそこまであなたの髪型に関心はありませんし、
他人のネクタイの色や柄に興味はありません。
私は生徒たちにこの話をした際に、いつも「あるテスト」をすることにしています。
10分くらい話をした後に、突然クルッと後ろを向いて、自分の首元をジャケットで隠し、
「今日の私のネクタイの色は何色だ?」
と聞くのです。
10分以上私に注目していたはずなのに、ネクタイの色や柄を覚えている人はほとんどいません。
ノーネクタイの日もありましたが、それも皆さん間違えます。
また、こんな話もします。
「みなさん、卒業アルバムや集合写真で最初に見るのは誰ですか?」
大抵、自分ですよね。
人間というのは、基本的に他人への関心は低いものなのです。
だからこそ、他人に関心を持つためには、その人らしさを受容することが第一歩となります。
このことを踏まえ、生徒に関心を持つ心構えを3つご紹介します。
①その子らしさに関心を持つ
休み時間にイラストを描いている生徒がいました。
「絵がうまいねぇ」「いつもはどんな絵が好きなの?」
「私の娘も絵が好きでね、中学生になったらこれくらい上手にかけるようになってほしいなぁ」
これだけで、この生徒は「この先生は私に関心を持ってくれた」と思ってくれます。
生徒の持ち物や部活の話でも良いと思います。子供の「好き」や「夢中」に関心を持ってみてください。
②挨拶をする
挨拶はとてもコスパがいい人間関係構築術です。以前のコラム(『挨拶のすゝめ』)でも書きましたが、挨拶の際に名前をつけて
「○○さん、おはよう」
と挨拶すると、とても良い印象を与えることができますので、是非やってみてください。
③相手との距離感を保つ
①と②だけだと、ただ生徒と仲良くなればいい、というふうに聞こえるかもしれません。
関心を持つ目的は、仲良くなることではなく「相手を尊重する」(前回コラム参照)ためです。
そのためには生徒との程よい距離感が必要です。
例えば、坊主頭に刈り上げてきた男子生徒の頭を、女性の先生が触って「気持ちいい〜!」と言っていたとしましょう。ありそうな光景です。
では、逆に男性の先生が、女子生徒の髪の毛を触って「気持ちいい〜!」と言っていたらどうでしょうか?これは変だと思う方が多いと思います。
ここで気をつけなければならないのは、相手の性別だとか、そういう問題ではありません。相手がどう感じているか、どう思っているか、を教師の主観で判断するのは危険だということです。
先程の例で言えば、生徒同士ならば許容されるかもしれませんが、教師というのはどうしても立場が強くなってしまうものなのです。教師側は「ちょっとしたこと」だと思っていても、相手も同じように思うかどうかは分かりませんので、ことさら注意が必要です。
これらの3つの心構えを持って、「関心を持つ」を実践してみてください!
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