Column コラム

ピンチをチャンスに変えたサッポロビール

2021.02.12

二度目の緊急事態宣言により、お店での飲み会を自粛する流れの中、家で「オンライン飲み会」をする方が増えているみたいですね。

かく言う私も、とあるオンライン酒場に毎週金曜日に出没しています。この酒場は、教育や人事に興味関心のある人達が集まっていて、いつも参加者の方とお話をするのを楽しみにしています。(興味ある方は私のfacebookにDMを送ってください^^)

「サッポロ 開拓使麦酒仕立て 350ml」(公式HPより)

さて、私はいつもビールを飲むのですが、最近そのビールが話題となったニュースがありました。ニュースを時系列で追うと以下の通りです。

1. サッポロビール株式会社(以下サッポロ)が『開拓使麦酒仕立て』という新しいビールを限定発売する、と発表
2. しかし、その缶にデザインされた”ラガー”のスペルが、正しくは”LAGER”とするべきところ、”LAGAR”と表記されていることが判明
3. サッポロは品質には問題ないとしつつも発売中止を発表
4. しかし、ネットで「もったいない」「むしろそのまま飲みたい」という声が殺到
5. サッポロは(3.)の発表を翻し、スペルミスのビールをそのまま発売することを決定
6. ネットでは「素晴らしい対応!」「このビール買う!」と概ね高評価
7. 消費者庁長官は「英断」と絶賛

 

<参考URL>
https://www.sapporobeer.jp/news_release/0000012368/
https://news.livedoor.com/article/detail/19528114/
https://www.asahi.com/articles/ASP1F6VJSP1FUTIL04G.html?fbclid=IwAR3taRrARm5ZrEC4wGjw0hT61S7QkyfSxE-hQT3PWCXlsqQXRqXUFjue_Fo

以前の日本の企業文化・消費社会文化であれば、こういうミスは許されざるものとして、商品は回収し、「再発防止策を徹底いたします」と謝罪するのが通例だったと思います。最悪の場合、隠蔽することもあったかもしれません。

しかし、ネットによって消費者側の声が社会に拡散されやすくなり、ミスを隠蔽することは企業にとって大きなリスクとなりましたが、逆にネットは、消費者との「双方向性コミュニケーション」をより容易にしてくれた、と考えることもできます。

中高生向けPR教材の『PR for School』では、「双方向性コミュニケーション」を「対等に対話を重ねること」と表現しました。

サッポロの対応は、まさに消費者と「対等」になることができた結果、ピンチが一転、チャンスになったわけです。

私達教員は、ともすると学校や自分を「命令権者」とし、生徒や家庭を「無条件で学校の命令に従う相手」と捉えてはいないでしょうか。これでは双方向性コミュニケーションは成立しません。

情報の発信者(教員)側が、受信者(生徒・児童・保護者など)の気持ちや声、要望をよく聞き取りながら、相手が手に入れられるメリットや利益(時にはデメリットや不利益も)を伝えることが双方向性コミュニケーションです。

このように、教員と生徒は立場は違えど、「対等な対話」によってPRは実現し、ともに目的が達成できるのです。ぜひ実践してみてください。