Column コラム
木野 雄介
- 私立中高講師
- 歴検日本史博士
なかなおりの話
2020.10.06

我が家には小学校1年生の長女と、保育園年中の次女の、
2人の娘がいます。
どの家とも同じように、ふだんはとても仲良く遊んだり、
TVを見たり、一緒にお風呂に入ったりしていますが、
ふとした拍子にケンカをすることもあります。
まだ、2人だけで丸く収めることは難しいようで、
たいてい親の仲裁が必要です。
先日もケンカが始まりました。
仲裁に入る私はまず「どうしたかったの?」と聞きます。
「どうしたの?」ではなく、「どうしたかったの?」です。
ケンカになる直前には必ず「思惑のすれ違い」が発生しています。
今回は、妹が、姉のおもちゃで遊んでいるところ、
姉がそれを発見し、妹から強引に取り上げたことが事の発端でした。
また、姉がおもちゃを取り戻す際、妹は抵抗するべく姉を叩いたそうです。
妹はおもちゃを取り上げられて大泣きするわ、
姉は叩かれて大泣きするわで、我が家は大混乱です。
さて、仲裁に入りましょう。
このとき「どうした?」と子供たちに聞くと、
妹「お姉ちゃんがおもちゃをむりやり取った!」
姉「妹にぶたれた!」
と、自分がいかに被害者であることが主張されてしまい、
これではケンカの火はなかなか鎮まりません。
そこで「どうしたかったの?」と聞きます。すると、
妹:「お姉ちゃんのおもちゃで遊びたかった」
姉:「私のおもちゃで勝手に遊んでほしくなかった」
ここで初めて、双方はそれぞれの思惑がすれ違っていることを認識できました。
そして、私から「じゃあ、どうしたらみんなが幸せになれるかな?」と聞きます。
妹:「お姉ちゃんに、『使っていーい?』と、先に聞いておけばよかった」
姉:「あとで返してね、と言ってあげればよかった」
と2人とも改善策まで考えることができました。
「みんなの幸せ」…これはパブリック·リレーションズの「倫理観」で、
「改善策」…これは「自己修正」の部分です。
どうしたら自分の願いが叶えられるのか?
強引に取り上げたり、相手を叩いたりするのは、不幸な人を生み出してしまうため、
最適な手段ではありません。
自分の願いを叶えるためには、みんなが幸せになる(=誰も不幸にしない)ことを
考えるといいわけです。
この考え方を子供のうちに身につけてほしいですね。
なお、別の日の話ですが、寝坊している娘たちに私が、
「オーイ!朝だぞー!起きろー!!」
と大きな声を出したら、次女から
「お父ちゃん、そんな言い方したら、みんな幸せにならないよ」と、
たしなめられてしまいました。
自己修正します!(笑)
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