Column コラム

これからの時代に大切な4つの力を育てる宿泊行事とは

2022.09.11

 今回は、この夏に僕が勤務する学校の一つである横浜創英中学・高等学校で行われた宿泊行事をパブリック・リレーションズの視点でご紹介します。

 先日、中学2年生の「4Cスキル研修」に参加してきました。ここでいう「これからの時代に必要なスキルである4つのC」とは何でしょうか?

 4Cとは・・・

 ・Communication 対話する力  

 ・Collaboration 協働する力

 ・Critical Thinking 分析的思考力

 ・Creativity 創造力

です。横浜創英中学・高等学校では、学校として育てたい「3つのコンピテンシーと9つのスキル」を作成し、全ての教育活動を通してこれらを子どもたちに身につけてほしいと考えています。

<参考>横浜創英中学・高等学校HP

https://www.soei.ed.jp/competency/

 この中で、授業の核になる4つのスキルを育てることに焦点を当てたのが「4Cスキル研修」です。パブリック・リレーションズでも大切な「対等な対話」(双方向コミュニケーション)のスキルを身につける研修といってもいいでしょう。この研修は工藤校長が麹町中学校時代にオリジナルで作り出し、書籍でも紹介されています。

 研修の初日は工藤勇一校長の講演から始まります。中学生向けでも、工藤校長のプレゼンは大人向けとそう変わりません。子どもたちと大人が対等な対話を創っていくための、中学生を子ども扱いしない本気のプレゼンです。その中で、世の中の変化や子どもたちに身につけてほしい力が語られる中で、特に強調されたのが「みんな違っていい」を実現するには「お互いの違い」が「対立」になりうるという点です。人の脳は自分と違うものに出会うと拒否反応を起こす。すると、イライラしたり、不安になったり、怒りが生まれたり・・・

「この研修中にたくさん対立が起こると思います。自分の感情がイライラしたら、ああこれが対立の原因かと思ってください」

と続けます。この言葉は子どもたちと同時に、我々教員や協力者として参加している10名ほどの大学生にも向けられています。

 大学生はこの研修期間中、子どもたちに寄り添い、「話し合いがうまく行かないことはよくあることだよ」「どうしようか?」「どうしたい?」とあくまで自己決定を促す寄り添い方をしていきます。教員はその大学生をサポートします。

 子どもたちは最初は、話し合いに参加しない子や意見の対立に戸惑います。その度に、大学生と対話しながら、さまざまなスキルを経験し、自分をコントロールすることを学んでいきます。何度も感情をコントロールするという経験を積み重ねると、サボっている子にも変化が見えるようになります。3日目には、研修の様子も大学生と混じり合いながら大人の表情を見せるようになりました。教員も大学生も自律を育てるには、見守ることが大事だと肌で感じていきます。4Cスキル研修は子どもだけでなく大人も大きく変わるのです。

 パブリック・リレーションズでは目標達成のために「双方向コミュニケーション」を重視しています。その中で、起こるさまざまな問題を経験しながら、乗り越えていく4Cスキル研修は、全ての大人にも必要な経験だと思います。

 学校や企業の研修で、パブリック・リレーションズの考えを導入することに興味がございましたら、お気軽にお問合せください。