Column コラム

求められる「リーダーシップとは?」(1)

2023.07.31

みなさんは「リーダーシップがある人」と聞くとどのような人を思い浮かべますか?

学校で質問すると児童・生徒達からはこんな答えが返ってきそうです。

  • みんなを引っ張ってくれる人
  • 責任感が強い人
  • 頭がいい人
  • 運動が得意な人
  • 人が嫌がりそうなことも進んでやる人

でも実際,これ全部できるのってヒーローですよね?(笑)


私は,リーダーヒーローである必要はないと考えています。

そもそも,世の中で求められているのは,

リーダーなりたがる人ではなく

リーダーシップ理解している人なんです。

リーダーになりたがる人ばかりを集めた組織は

まさに「船頭多くして船山に登る」です。

組織はこれを求めているわけではありません。

では,リーダーシップとは何なのでしょうか?

リーダーシップ経験が有効とされるためには次の3つの要素があると,私は考えています。

❶コンプライアンスの意識

❷対等なコミュニケーションによる合意形成

❸最上位目標から最適手段を調整する

今回から私のコラムでは,これらの要素を1つずつ解説していきます。

 

❶コンプライアンスの意識

近年,企業や組織の不祥事のたびに,

コンプライアンスを徹底します

という謝罪・反省文が出るようになりました。


コンプライアンスは直訳すると

「命令や要求などに従うこと」

という意味になり,

「法令遵守」などと訳されて日本社会に浸透しましたが,

リーダーシップは,

単に法令を守ることだけでなく,

倫理的な行動を取ることが必要です。

この倫理的な行動の大前提が

人権を尊重する意識・態度・行動です。

人間には,平等権・自由権・社会権などの人権があり,

これらを深く理解した態度・行動が

リーダーには求められます。

パブリック・リレーションズの第一の柱は

倫理観」です。

リーダーシップに求められる要素と,

パブリック・リレーションズは合致しています。

 

なお,リーダーシップ経験がない人は,

これらの規範意識が,

リーダーシップ経験がある人と比べると乏しいと思われがちです。

リーダーシップ経験が乏しい人がリーダーを務めると

突如として独裁者のように,自分勝手に振る舞う例が少なくありません。

つまり,リーダーは立場上,

他者の人権を制限したり,奪ったりする危険性に陥りやすい,

といういうことを,

自らの経験を通して理解できている人こそが

リーダーとして相応しいのです。

社会では,様々な属性の人とチームを組んだり,

常に利害の一致するわけではないクライアントと対峙したりすることになるので,

学校のように属性の似たような集団より,

属性の異なる集団でのリーダーシップの方が,難易度は高くなります。

 

そのあたりは次回❷対等なコミュニケーションによる合意形成で詳しく解説します。